パウダーコーティング その1

Particle Coating
今週は4回に渡って、ALDを使ってパウダーやナノ粒子への基本的コーティング技術を解説します。(注: パウダー用の実装置にほとんど携わっていないため、不適切な記述があるかもしれません。その際はご容赦ください。)

燃料電池の解説でも少し記載していますが、ALDの世界では粒子(パーティクル)へのナノレベルのコーティング(成膜)をすることによって、保護膜をつけたりや表面の性質を改質することが可能です。装置構成に関して言えば、原料や配管ガスの取り回しはウエハー基板用と同じですが、パウダーをどう扱うかということが異なります。そしてそのパウダーの取り扱い方が最も重要になってきます。一つの代表的な例「Fluidization (流動化処理)方式」を下に示します。

Fluidization - overview

キャリアガス、TMAなどのプリカーサーが配管を通り、パウダー試料の容器に順次入ってきます。

Fluidization - Step

キャリアガスが投入される前(「開始前」)、パウダー粒子は容器の下側に落ちて収まっています。ただ金属メッシュにより更に下には落ちていきませんが、金属メッシュにはその粒子の目より小さい穴が空いているため、下からガスの通過を許します。
Step 1: 容器の下からキャリアガスが流れて来るとパウダー粒子も浮き上がってきます。この状態はまたパージの状態でもあります。
Step 2: ここにTMAガスを流して、まずはAlのレイヤーをパウダー粒子につけます。
Step 3: パージします。
Step 4: そして酸化系のプリカーサーを流してあげ、酸素のレイヤーを形成します。

あとは上記のStep 1 から4を繰り返すことにより所望の膜厚を付けることができます。

このFluidization (流動化処理)方式の短所は、プロセスの度に容器を交換しなければならないこと、一回の処理量が少ないことが考えられます。

ALDパウダーコーティングの研究されている用途としては、リチウムイオン電池、燃料電池、量子ドットなどです。特にリチウムイオン電池のリチウム系粒子へのAl2O3などの保護膜としてALDの量産適用が検討されているようです。