ALE = Atomic Layer Etching
原子層をエッチングする技術について、ここで解説します。

そもそも何故原子レベルの極薄でのエッチングが必要かと言えば、半導体の微細化が進み、そろそろnm(ナノメートルレベル)ではないアトミックスケールのデバイス開発の時代にきたからです。実際2018年は最小線幅7nmの半導体生産が開始され、開発フェーズは5nmや3nmに移っています。もちろんその先もある訳で、微細化は更に進みます。

また現実的にはArea Selective ALD(AS-ALD又はASD (Area Selective Deposition))の一つのステップとしてALEを使用したいという要求もあります。

一般のエッチング技術が薬品で溶かすなり、プラズマで叩くなりの基本的には1ステップのプロセスです。それと比較して、ALEは2つのステップを踏むことにより原子層を1枚づつ剥がします。

ALEが解説される時によく使用されるLAMリサーチ社の研究員のイラストを下記に掲載します。

出典:Keren. J. Kanarik; Journal of Vacuum Science & Technology A: Vacuum, Surfaces, and Films 2015, 33.

① Start: シリコン表面の状態を表しています。
② Reaction A: Cl2(塩素)ガスを流して、Si表面に吸着させSiCl化合物に改質させる。この化合物は下地のSiとは別な性質を持つと考えて下さい。
③ Switch Step: ステップの切替(パージを含む)
④  Reaction B: アルゴンイオン(Ar +)を低エネルギーで軽くぶつけてあげると表面の SiCl化合物だけを選択的に飛ばしてエッチングさせる。この時エッチングとして反応に寄与するのが表面の化合物一層だけであれば望ましく、Self-limitigの記載がある通りに、一層だけの原子レベルのエッチングとなる。

このイラストでは、ALD(青色の表面反応図)との比較も記載されている通り、ALDと同じく主に2つのステップとなります。これを繰り返し行えば、原子レベルで1層づつエッチングが可能になります。